WBCープロ選手による世界大会。もうひとつのWBCとは?手や足などに障がいがある選手たちがプレーする野球の世界大会。あとひとつーWDBCとは?耳が聞こえない聞こえにくい選手たちがプレーする野球の世界大会である。選手は皆、聴覚障がい者。聴力の程度は様々で手話が第一言語の人、手話が出来ない人もいる。世界大会では補聴器、人工内耳を外し音のない状態、同一条件で全選手はプレーする。 大会は台湾・台北で2月下旬に初めて開催され、5カ国が出場した。第1戦のメキシコ戦では内山が緩急巧みなピッチングで6三振を奪い、石間、殿山の二遊間のダブルプレーと、終盤に森からつないだ6長短打と犠飛を絡めて8点を挙げ勝利。アメリカ戦では打ち損じを外野まで運ぶ桁違いのパワーに圧倒され初盤に5点とられたものの小畑の丁寧なピッチングと、桑原の9打者に対し5三振を奪うなど投手陣が反撃をしのぐ。3回の攻撃では打者一巡して8点を奪うなど日本のつなぐ野球ができた。日本は予選リーグを4戦全勝し、決勝ラウンド最終戦で台湾を9-2のコールドで破って世界一となった。
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日本代表
第1回世界ろう野球大会報告書から一部紹介
聴覚障害者も野球がしたいー世界各国の聴覚障害がある野球選手と試合をしてみたい。その想いを結実させた。
第1回世界ろう野球大会、WDBCである。 このワールドデフベースボールチャンピオンシップを開催するにあたり、多くの課題があった。 世界的な組織を持たないろう野球が世界大会を開催するには日本での組織の設立、各国との連携、呼びかけが必要。 そして2020年、日本ろう野球協会を設立。JDBAが発足した。
JDBAは世界大会に向けて選考会を実施、日本代表チームを結成するも4月にコロナ感染症が拡大し、外出や渡航の制限などを受け、世界ろう野球大会は無期延期が決まった。呼びかけに応えてくれた選手達に解散を告げなければならなかった。 韓国が2021年自国開催を名乗り上げてくれたが、コロナ禍の状況が収まらず、中止。2022年に台湾が開催すると発表。日本は新たに18名の日本代表選手を選出。ところが2024年に開催延期となる。
中止や延期が繰り返されても、いつか開催できることを信じ、幾度かの選考を重ねながらようやく2024年2月に初の世界ろう野球大会を実施。
「2024 BASEBALL FOR THE DEAF WORLD CUP」
JDBAの理事達は日本の選手の活躍の場所を作りたいと台湾遠征へ向けて資料の準備、世界各国とのリーダー会議、毎週の進捗会議と不慣れながら進め、情報共有や連携不足からのアクシデントにも対話を繰り返し問題解決へ取り組み、無事に台湾へ選手を遠征させることができた。
主催国の台湾の開催能力には目を見張るものがあった。競技会場・会場配置計画、選手の宿泊施設、政府支援ー。そして、実況解説・手話通訳付きのYOUTUBEライブ配信。台湾はデジタル化・国際化にも強いと示した。
日本の聴覚障がい者の硬式野球の歴史を変えた試合を台湾で行うことができ台湾には深く感謝している。
選手達は支援して下さった方々への感謝の心を込めてプレーした。優勝は、全国のろうの球児たちへ、そしてご寄付を下さった方々へ捧げる。
次は、2026年日本開催。誰ひとり取り残さない。スポーツを楽しめる世界を次の世代へ。スポーツ庁が取り組む「スポーツSDGs」に賛同し、小さな世界大会だけれど、この大会でSDGS17の課題解決に一つでも多く貢献できるよう取組んでいく。